3月7、8日の土日に、りゅーとぴあで開催中の新潟演劇祭の一つとして、JOKER「私立!七橋学園!」が上演されました。
僕は、8日の千穐楽を観に行って来ました。
という訳で、感想を書いてみたいと思う訳ですが…
最初に言っておきますが、わりと批判的な文章になってしまうと思います。
僕は最近ブログを書く時に、日常で感じたことのメモみたいなものを下書きして保存しておいて、それを時間がある時に仕上げるという、ちょっと変わった方法を取っています。(ブログの日時と更新した日時がずれているのは、そういう理由です。)
で、「面白かった!」って感想を一ヶ月後とかに書いても問題ないでしょうが、「面白くなかった!」って感想を一ヶ月後とかに更新しても後味が悪いでしょうから、まだ公演が終わって数日しか経っていない今のうちに、すぱっと書いちまおうと思います!
そもそも僕はこのブログには、面白かったことや人に知って欲しいこと、書いておかなければいけないと思ったことを中心に書いています。
なので、演劇の感想なども、面白かったものについてはたくさん書きますが、面白くなかったものについては書かないことが多いです。(書かなかったからと言って、つまらなかったという訳ではないです。単に時間がなかったり書き忘れてることも多いので(笑)。)
ですが、僕は今からJOKER「私立!七橋学園!」について「面白くなかった」という気持ちを書こうとしています。
どうしてこれを書こうとしているのかは分かりません。分かりませんが、ただ、「僕はこれを書かなきゃいけない」という気持ちがとても強くあります。
書かずにはいられない何かが、僕の中にあるなら、そういう直感的な欲求はきっと正しいと思っているので、やっぱり書こうと思います。
とは言え、愛のない批判をしても悪口になってしまうと思うし、それは僕も望んでいないので、出来るだけそこは気を付けて書いていきたいと思います。
JOKERを楽しんで観劇した方が多くいることも知っていますので、そういうファンの方や関係者の皆さんが読んで気分を悪くしてしまったらごめんなさい。
出来るだけ言葉づかいに気を付けて書きますが、たかがブログなんで別に読みたくない方は読まなくてかまいませんし、反論はいくらでも持っていただいてかまいません。
また、これはあくまでも、僕にとっての感想なので、見たことのない方が、「これがJOKERなのかー」と思わないようお願いします。それは僕の本意ではありませんので。
見た人の数だけ存在する感想の中の一つとして、あくまで、僕の感想、僕なりの「JOKER」、僕なりの「私立!七橋学園!」に対する気持ちを、書いたものです。
それと、ちょっと思い出すのは、僕が二年前にみっくすじゅ~す倶楽部「Crimers High↑」って演劇に出演した時に、多くの方から厳しい感想をいただいたことです。
あの時は、本当に悔しかったし相当凹んだんですが、でもそうやって正直に感想を言っていただける方の言葉によって、結果的に悔しい気持ちが成仏できたような気がするんですよね。
もっと言うと、そういう言葉によって気付けたことがたくさんありますし、今の自分を形成する大切な要素にもなっている気がします。
だから、やっぱり今思ってることを、正直に書いてしまった方が色々いいんじゃないかって思います。
前置きが大分長くなりましたが、それはそれだけこのブログを書くかどうかをかなり迷ったため、だと思っていただければと思います。
まあ、わーわー言うとりますが、JOKER「私立!七橋学園!」の感想とか、せっかくなんでアレとかコレとか、色々長くなると思いますが、はりきって行ってみよう!
という訳で、僕は3月8日(日)の17時から、JOKER「私立!七橋学園!」の千穐楽を観に行って来ました。
観劇前の心境としては、かなり大きな期待!プラス、わずかばかりの不安、がありました。
まず、どうしてそんなに期待があったのかと言いますと、言うまでもなく僕はJOKERのファンの一人だからです。純粋に楽しみでした。
どうしてファンになったのか、そしてそれがどうして期待に繋がるを説明したいので、一先ず、観劇前の僕のJOKERに対する気持ちを書いてみたいと思います。
新潟のステージユニット「JOKER」は、2012年に旗揚げ公演「JOKER」とともにデビューした、5人組の団体です。
代表はもっつぁんこと本間智さん、作・演出はチャラ侍こと高田一樹さん、さらにさっきーこと先川史織さん、もりここと森祥子さん、しまむーこと島村哲平さんと、僕のブログにも度々登場する面白い人達がメンバーなので、僕にとってはかなり身近な存在です。
2012年の「JOKER」、2013年には「ゴーストハウス」の二公演をを行っており、僕はどっちも見ているんですが、どちらも大好きな作品です。
なんでそんなに好きなのかを完結に説明するなら、「楽しい!」「友達になりたい!」って感じです。
特に、旗揚げ公演の「JOKER」を見た時の衝撃はとても大きかったです。
この時はJOKERメンバーの5人とはほとんど親交がなかったんで、ひょんなことから(多分Twitterがきっかけで)一樹さんと話す機会があり、「なんだか面白そうなことしている人達がいるぞ!」と心を踊らせて、僕は見に行きました。
で、観劇したJOKERの「JOKER」ですが、これが非常に面白かった!今でも大好きな作品です。
Twitterにも書きましたが、僕が考えるJOKERの魅力は…
・物凄い密度で過剰に畳み掛けるギャグ
・高度な技術を下ネタに使うような才能の無駄使い
・予測不可能なまでのやりたい放題
・そのくせ最後には「おおっ!」って感動させる隠しネタが登場
この4つです。この全てが、「JOKER」にはありました。
もちろん、脚本や演出、演技やギャグのセンスなどにも感動しましたが、それ以上に何より僕は「こんな面白い作品を作った人たちが新潟にいる!」という事実に感動したのでした。
この時の気持ちを一言で表すと、「新潟にもBLUESみたいな奴らがいる!」です。(これが、僕にとってどれだけの褒め言葉か!これから説明していきます。)
BLUESは、僕が松本に住んでいる時に所属して演劇やコントをしていた(今でも一応所属だけはしている)男子だけのコメディユニットで、僕の演劇の原点とも言えます。
BLUESの、というか僕にとっての演劇の魅力って何かって言うと、「こんな俺達でも輝いて生きていける!」ことなんです。
例えば僕なんかメンヘラだしニートだったりするし、BLUESには大学中退したメンバーもいるし、要するに世の中から見たらダサいと思われちゃう側の人間たちが、一生懸命格好付けてバカな演劇をやってるんです、BLUESでは。
また、真面目に社会人をやっているけれど、心の中では常にボケたい!という衝動を持って生きてるメンバーなんかもいます。
BLUESメンバーの全体的な特徴として、みんなボケたがりなんですが、普通に生きていたらなかなかそれを披露できる場少ないし、変な奴だと思われたり空気が読めないと思われたりするでしょう。
それが披露できる場、それが俺達の演劇なんです。自己表現が出来る。それぞれの個性と、欲望を、舞台で披露することが出来る。
しかもそれによって、人を楽しませたり、感動させることが出来る。なんて素晴らしいんだ!と。
もっと言うと、普通の生活では、コイツは頭がおかしい、空気が読めない、と思われるようなマイナスな部分でさえも、舞台では格好良く見える個性だったりする。なんて素晴らしいんだ!と。
だからこそ、「こんな俺達でも輝いて生きていける!」もっと大袈裟に言うと「人はみんな自由に生きていける!」っていう魅力が、演劇にはあると思うんです。
で、JOKERの「JOKER」を観劇した時に、なんだかそれに似たものを僕は感じたんです。
と言ってもメンバーそれぞれの性格なんかは、この時は知りませんでしたが、「俺達がやりたいことを全力でやってるんだ!」という勢いをガンガン感じて、それがBLUESの感動に似ていたんですよね。やりたい放題だな!って。
だからこそ、僕は観劇した時に、楽しいと同時に、嬉しいって気持ちがあったんです。俺達と似たようなことやってる奴らがいる!新潟にも!っていう。
「友達になりたい」っていうのはそういう意味です。
あと、演劇として見たら結構アウトなこと(特に、上の世代から見たら怒られそうなこと)でも、楽しいからやっちゃうっていう痛快さもありました。「俺達はこれがやりたいんだ!」っていう。
だからこその、「俺達のJOKER!」だったわけです。
それに加えて、JOKERがすごいなって思ったのが、そういう「やりたい放題」がただの自己満足になってなくて、ちゃんとエンターテインメントとして成立していたんですよね。
散々笑わせておいて、「あれ、これふざけてるけど、実はかなり頑張って作っちゃってません?」っていう。伏線回収の快感もあれば、キャラも魅力的だから物語にもかなり入り込んでしまったし、最後にはカタルシスもちゃんとありました。
だからと言って、そういう技術的なすごさが、決して押しつけがましくなかったんです。
どういう事かって言うと、「すごさ」よりも「バカさ」の方が勝ってたんですよね。そこが魅力だった。
面白いし格好いい、だけど超バカ!っていうすごくいいバランスだったんです。
だからこそ、「いいぞ!もっとやれ!」って思いました。今でもすごく思い出に残っています。
そして、二作目の2013年の「ゴースストハウス」では、脚本の練り込み方が、格段に上がっていたと思います。
畳み掛けるギャグが、実は次のシーンの前振りだったり、伏線だったりと、ストーリー上でちゃんと意味も持っている、っていう、非常に巧みな脚本だなって思いました。
また、叙述トリックを使った演劇って、新潟では見たことがなかったんで、そこに挑戦する姿勢も素晴らしいなと。
その上、本当に驚いたことに、最後には驚いたことにちゃんと演劇的な感動があるんですよね。
そのくらいかなり頑張って書かれたであろう脚本なんですが、やっぱり超絶的にバカなんですよね。
しかも客演さんが3人も増えたことで、バカさがパワーアップしていて、素晴らしいなって思いました。
さらに、JOKERじゃないですが、2012年に見た「ちず屋の二階大行進」のDチーム「モンキークラブ 上書き物語」という作品についても触れようと思います。
これは、昼町夜村さんの脚本を一樹さんが演出し、一樹さんと内藤くんとさっきーさんが出演していたので、JOKERにもかなり繋がる部分の多い作品だと思います。
何が凄かったって、パワーマイムです!「昔話の世界に入り込んで戦う」というトンデモ設定を、「オーバーライト!」という掛け声とともに、予想をはるか斜め上を行く超絶的にハイテンションかつハイクオリティなパワーマイムで表現し続ける30分間。
もう、休む暇もなく舞台に釘づけでしたし、大爆笑でしたし、あれをあの夏の暑くて狭いちず屋の二階で見たっていう、色々とんでもない思い出は、今でも思い出して笑ったりするくらいです。
ちなみに、松本から見に来てくれたBLUESのそうめいくんは「人生で見て来た中で一番好きな舞台」らしいです。
それはちょっと大袈裟じゃないか!?って思ったりしますが、でもそう思ってしまう気持ちも分かるくらい、今でも大好きな作品です。
でですね、これだけの今までJOKERを好きになる要素が揃っていたら、僕は「私立!七橋学園!」にはかなり期待するってもんです。
次はどんなことをやってくれるんだ!?っていう。
しかも、今回は客演の皆さんも僕にとって魅力的だったなあと思います。
常木さんとは共演したこともあって応援していたし、カタコンベの黒ちゃんのポジティヴさはJOKERにきっと合ってると思いましたし、初めて見るひよりちゃんの演技は楽しみでした。
あと、ここに触れない訳にはいかない!エンジェネのかほてぃーぬが出演してたんですよ。
かほてぃーぬとは、去年OHANAのかほてぃーぬ聖誕祭でNIIGATA BLUESと一緒に踊った仲でしたし、そこで生まれた縁がこういう形で繋がっていくのは本当に嬉しかったしとても楽しみでした。
さらに、今回のJOKERは、なんとあの2012年のちず屋の二階大行進の「モンキークラブ 上書き物語」の続編にも当たる作品だと言うではないか!
これだけの人数で、これだけの規模で、あの「オーバーライト!」の感動をもう一度味わえるとしたら、そりゃあ絶対面白いに決まってるだろ!と。本当に楽しみでした。
とは言え、不安がなかった訳ではないです。
一番の不安は、宣伝をするに当たって「格好いい!」「胸キュンさせる!」みたいな表現をあまりにも乱用していたことです。
えっと、演劇に於いて胸キュンするっていうのは、あくまで見た人それぞれが決めることだと思うんです。
っていうか、演劇って見た人がそれぞれ違った感想を持てるところが面白いと思うんですよね。
だから、最初から「胸キュンさせます」って言っちゃうのは、それって感想の押しつけなのではないかと。演劇の魅力を半減させちゃってないかと。
しかも、「胸キュンさせます」って最初から言っちゃうと、ハードルが上がってしまって、結果的に全然胸キュンできなくなるのではないかと。
それと、僕が思うJOKERの一番の格好良さって、格好付けつつも、それよりもバカさ、欲望、やりたい放題が上回っていたからだと思うんです。
あーだこーだ考えず「やっちまえーーーー!!」っていうガンガンくる勢いが格好良かったんだと思うんです。
だから、「胸キュン」させるような格好良さを全面に出し過ぎちゃったら、それってJOKERの魅力が半減しちゃうんじゃないの?っていう。
(てか、そもそも「胸キュン」って俺、興味ねえなあ…っていう。まあ、女の子は好きなのかもしれませんが。)
しかし、「胸キュン」そのものをギャグにしちゃうとか、「胸キュン」で油断させといて、僕らの予想を上回るような何かとんでもない面白さをぶっ込んできて欲しいなあって期待もありました!
で、その予想を上回る面白さってのがもしかしたら、「オーバーライト」のアクションなんじゃないかな、とか思っていました。
そんな感じで、結構な期待と、わずかな不安がありつつ、でもその不安の裏で「いや、もしかしたらそんな不安を裏切るような面白さをやってくれるかもしれない…!」っていう期待も持ちつつ、僕は観劇しました。
で、それで観劇しての感想なんですけど…あの…
僕の期待はことごとく裏切られ、その上、不安は全て的中してしまうという…
すごく残念でした。面白くなかったです。
演劇が始まった数秒後から、僕は「あれっ?」っていう違和感を感じていました。
いつものJOKERにあったあのガンガン来る面白さが、全然来ないぞ…?っていう。
「JOKER」ではpink pubicさんの格好いいテーマ曲とともにめちゃくちゃ格好良く登場したJOKERの五人が、次の瞬間ものすごく下らない喧嘩を始めるし、「ゴーストハウス」でも、開演前のお化け屋敷でやってきたネタを自分達でバカにし合って、また喧嘩を始める。
いや、何も喧嘩しろって言ってるんじゃなくて、役者さんたちの台詞の掛け合いがすごく面白いんです。
変なキャラたちが間髪を入れずに次から次へと変なことを言いまくるっていうグルーヴ感が素晴らしいんです。
そういうグルーヴ感が、キャラの魅力とともに伝わってきて楽しいから、どんどんその世界に入っていきたくなる魅力がありました。
…なんですけど、今回の「私立!七橋学園!」では、台詞の掛け合いが、びっくりするほどグダグダだったなーって思いました。
また、キャラクターたちもなんかどっかのアニメの劣化コピーみたいなキャラクターばかりで、魅力を感じられませんでした。
一応言っておきますが、アニメの劣化コピーみたいなもの、2.5次元的なものって、本来僕は結構好きなんです。コスプレみたいな。
2.5次元的なものって、普通にやっちゃったらただイタいと思うんですけど、やり切っちゃうと、逆に清々しい!みたいな魅力があると思うし、そういうことを新潟でやっちゃえるとしたら、JOKERしかいないよなー!ってくらいに僕は期待していました。
なんですけど、2.5次元的なキャラやり切ってる感が、ほとんど伝わってこなかったんです。
なんか、それっぽい台詞を言わされてる感じしか伝わってこなかったです。申し訳ないですが。
会話のグルーヴ感も、変なキャラをやり切ってる清々しさも、どっちも感じられない。一言で言えば、勢いがない。
勢いのないJOKERなんて、僕の好きなJOKERじゃないです。
でも、その後でさっきーがベタなアニメのオープニングっぽく「私の名前は芦屋心!」って言って登場した時は「あっ、やっと勢いのあるキャラが出て来た!」って思いました。「よっ待ってました!」っていう。
だから、「さっきー、この流れを変えてくれ!」って期待してたんですけど、その勢いは持続せず、またグダグダな感じに戻ってしまうんですよね。
だから、今回の上演時間は非常に長く感じました。退屈でした。
今までJOKERって、上演時間があっという間に過ぎていくくらい楽しかったんですが、それだけにとても残念でした。マジかよーっていう。
ただ、退屈だったとは言え、面白さがゼロだった訳では決してないということは、ちゃんと書いておこうと思います。
今までに比べて頻度は減っていたとは言え、面白いギャグはたくさんありましたし、何ヶ所か本気で爆笑しちゃったシーンもあります。
特に、ひよりちゃんとかほてぃーぬが、しつこいまでに何回も同じボケを繰り返すシーンは、最高だったと思います。
あれ、普通の演劇でやったらはっきり言ってアウトなレベルです。明らかに過剰です。でも、そういうバカ過ぎることをやっちゃうJOKER、イイネ!っていう。
あれ、ひよりちゃんがかほてぃーぬに同じネタ振りをしまくる、しかもかほてぃーぬが毎回ノリツッコミをしちゃうっていう、心底下らないシーンなんですよ。バカだなー!っていう。
なんでしょうね、女優二人の新境地開拓って感じもあって、あそこのシーンはまた見たいです。
あと、オーバーライトのアクションシーンは、予想よりも短くて残念だったとは言え、やっぱりとても面白かったです。
前半の桃太郎の下りの、桃太郎だったはずがどんどんハリウッド映画なんだか特撮戦隊モノなんだかロボアニメなんだか分からないような、おかしなノリになっていく、あの勢いは本当に笑いました。
それと、クライマックスでかほてぃーぬが黒幕っていうのが判明して、それまでライバルだったキャラたちが、全員で手を組んで黒幕に挑むという、バトルアニメのお約束的展開は、最高にアガりました。「キターーーー!」っていう。
特に、あの黒幕かほてぃーぬをそれ以外のキャラたちが取り囲んで、一斉にそれぞれの技を繰り出す!しかし、強すぎるかほてぃーぬ無双!っていうあのシーンは、画としても美しかったし、最高に熱い展開だったと思います。
ただ、そんな格好いいシーンも、勿体ないなーって思います。
何故なら、バトルシーンに至るまでのエピソードの描き方が分かりにくく、「なんでコイツらライバル同士だったんだっけ?」って思ってしまったので、「それまでライバルだったキャラたちが全員で手を組む」という超絶的に燃える展開の感動が、イマイチ伝わってこなかったからです。
今回の「私立!七橋学園!」、今までのJOKERに比べて、エピソードの描き方が分かりにくい、っていうか、雑だったと思います。
例えば、中盤くらいで島村さん演じる坂本勉三というキャラがみんなの知らないところで、とんでもない悪事を働いていたっていうエピソードが出来来るんですが…
アレってどんな悪事を働いてたんだっけ?何であんなことやったんだっけ?っていう感じなんです。よく分かんないんです。
一応、具体的な説明はあったと思うんですけど、なんかそれがすごく説明的で、全然感情移入できないなーって感じなんですよね。
そのくせ、気付いたら仲直りしていて、っていうか、無かったことになっちゃってるレベルなんですよ、坂本勉三の極悪エピソードが。
「ちょっと待って!思い出して!そいつお前のこと殺そうとしてたんだよ?おかしくね?」って、心の中でツッコミを入れずにはいられませんでした。
エピソードの描き方がおかしくね?っていうのを最も強く感じたのは、今回の作品の目玉企画である「マルチエンディング」です。
つまり、ギャルゲーや乙女ゲーにあるような、選択肢が劇中に登場し、お客さんの選択によって、展開が変わっていくというものです。
これ、ネタとしては非常に面白い試みだったと思います。
特に、乙女ゲーの選択肢みたいに、四人の男性キャラがスポットライトの下に立っているという画は、それだけでシュールで面白かったです。
なんですけど、この展開をストーリーに組み込むのは、やっぱり無理があったと思います。
いや、あくまでボケの一つ、ちょっとした小ネタとして、そういう2.5次元的な、ゲームを無理矢理実写化しちゃったみたいな展開を挟むのは、全然アリだったと思うんですが…
この選択肢がですね、物語の結構大事な部分に位置しちゃってるんですよ。
確かに、選択肢によって、ここはこういうストーリーになったんだなって部分は、見ていると、ああここだなってすぐに分かります。
なんですけど、それ以外の部分、つまり、どの選択肢でも必ず描かれているのであろうシーンっていうのも、出て来ます。
例えば、さっき書いた全員がオーバーライトして黒幕と戦うっていうシーンなんかは、それだと思います。
これって、おかしくないですか?
つまり、物語にとって重要なエピソードがどうなろうと、同じ展開を迎えるってことは、エピソードとエピソードの関連なんて、あってないようなものって言ってるのと、同じじゃないでしょうか?
特に、ライバル同士が手を組むという展開って、前後のエピソードから、どうしてライバルになったのかが非常に重要だと思うんです。
なんですけど、そこに選択肢によって変化する微妙なエピソードが挟まれるから、やっぱり前後のエピソードとの関連が分かりにくいんです。
だから、選択肢によって変化したエピソードが、そこだけ不自然に浮いて見えてしまいました。
「ゴーストハウス」ではあんなに練りに練ったストーリーを構築していて格好良かったJOKERが、なんでこんなにストーリーをないがしろにしているんだろうって、僕は悲しかったです。
ストーリーが多少雑だとしても、それを勢いで吹き飛ばすくらいの魅力は、JOKERにはあると思いますし、それをやってくれればかなり痛快だったのになあとも思います。
でも、やっぱりそれだけの勢いはないんです。ただただ、ストーリーの分かりにくさだけが気になるんです。
じゃあ、面白いストーリーも勢いもないとしたら何が残るかって言うと、微妙な胸キュン(笑)シーンだけが出て来るんですが…だからそんなんじゃ胸キュンしねーんだよ!っていう。
僕の好きだった期待したJOKERの格好良さはほとんど見られずに、悪い予感が全て的中してしまうという、本当に悲しい展開でした。
僕、JOKER見るんだから、終演後には出演者さんたちと「FUUUUUU!!!!!!」って盛り上がったり、記念撮影したり、なんならバラシも手伝うよ!くらいの気持ちでした。
でも、あまりの悲しさに誰とも話さずアンケートも書かずに帰りました。かなり珍しいことです。
帰り道、自転車を飛ばしながら、どうして俺は演劇を見てこんなに悲しい気持ちにならなきゃいけないんだと思うと、何故か泣けてきました。
そのくらい、僕はショックでした。
「あんなのは僕の好きなJOKERじゃない」ってTwitterに書いたのは、こういう理由です。
一言で言うと、これは失恋です。
…って、散々書いてきましたが、でも、実を言うとここまでは僕はわりと許せる範囲なんです(そうなのかよ!)。
だって、演劇なんて続けていれば成功も失敗も、名作も駄作もあるのが当たり前で、寧ろこうして精力的に作品を作って新しいことに挑戦しているのは、純粋にすごいと思いますし。
実際、楽しかったって言ってる人は大勢いますし、僕自身、笑ったりもしましたから、完全な駄作では全然ないと思います。いい部分もたくさんあります。
何はともあれ、お疲れ様でした!
…と、ここまでは、僕の演劇に対するわりと真面目な感想です。
ですが、ここから先は、それでもどうしても許せなかった部分について書いていこうと思います!
ここから今まで以上に超個人的な見解が強くなってきて、言葉づかいが汚くなっていく可能性もありますがお許しください!
何度も言いますが、あくまで僕個人の意見ですから、そこのところはご理解ください。
あのですね、僕が一番許せなかったのは、サイリウムを使った演出なんです。
今回、エンジェネのかほてぃーぬが出演していたので、彼女のメンバーカラーである青いサイリウムが、受付で配られました。
その時点で、かほてぃーぬの活躍するシーンでサイリウムを振るに違いない!って、で、演劇人である前にドルヲタな僕は、すごく期待したんです。「一体どんなタイミングでサイリウムを振れるんだ!」って。
かほてぃーぬ推しを公言している、一樹さんらしい演出に、僕は嬉しくなりました。
実際、ドルヲタの皆さんも劇場に来ていましたし、ドルヲタさんと演劇見るって新鮮だなあとか、ドルヲタさんとサイリウム振るの楽しみだなあとか、かなり期待していたんです。
…なんですけど、実際にサイリウムを振るシーンっていうのは、かほてぃーぬが演じた女教師が黒幕であると判明し、黒幕がパワーアップするという演出に使われていたんです。(もし、これが僕の記憶違いだったらごめんなさい。)
いや、かほてぃーぬが悪役っていう展開が悪いって言ってるんじゃないんです。
寧ろ、あの可愛いかほてぃーぬが実は超極悪っていう展開は、渋谷駿くんのマジックライブ「ROSE」でもかなりハマってたくらい、かなり萌えるし燃える展開です。
僕が許せないのはですね、そんなかほてぃーぬが悪役としてパワーアップするという展開に、サイリウムを使ったことなんです。
どういうことか分かりますか?僕らがサイリウムを振れば振るほど、かほてぃーぬが悪い奴になっていくってことじゃないですか!?サイリウムってそんな目的で振るものなんでしょうか!?
いいですか!ドルヲタがどういう気持ちでサイリウムを振ってるか分かりますか?アイドルを応援したいから振ってるんです。ただ形式的に振ってるだけじゃないんです。
サイリウムを振ることで、僕らは少しでもアイドルにこの気持ちを伝えられるかもしれない!アイドルを勇気付けられるかも知れない!そういう、ほとんど空回りした片想いの気持ちがあるからこそ、僕らはサイリウムを振るんですよ!
だから、てっきり僕は、サイリウムを振ることで、かほてぃーぬが演じた女教師がパワーアップして、悪い奴らをやっつけるみたいなそういう胸熱展開を期待していました。
それが出来たら、観客を巻き込むことが得意なJOKERの魅力と、アイドルを愛するドルヲタの気持ちが一つになった、最高に気持ちいいシーンが生まれてたはずなんです!
例えば、去年、東区市民劇団 座・未来「姫と剣とわらべ唄」に登場した、観客がペンライトを振ると、倒れていた仲間たちが生き返るという感動的なシーンがありました。
また、シェイクスピアの「テンペスト」では、観客が拍手をすることで、主人公の怒りが浄化されていく、という感動的なシーンもあります。
そういうことすればいいじゃないですか!
しかし、実際はサイリウムを振れば振るほど、かほてぃーぬが悪い奴になっていくではないか!!こんな悲しいことってあるかよ!!他のてぃーぬ推しのヲタさんたちはどんな気持ちだったんでしょうか。
僕は、あんな気持ちではサイリウムは振れなかったです。かほてぃーぬを悪い奴にするためにサイリウムは振れない!
アイドルを応援するためにしか僕はサイリウムを振りたくないです。
いや、かほてぃーぬが純粋に女優として活躍するんなら、そもそもこんな演出なくたっていいんです。
でも、サイリウムを使うってことは、かほてぃーぬがアイドルである部分を少なからずフィーチャーするってことじゃないですか。だったら、こんな取ってつけたような演出じゃなくて、アイドルを愛する喜びをもうちょっと配慮して欲しかったです。
そもそも、今回かほてぃーぬがJOKERに出演するって聞いた時、僕すごく嬉しかったんです。
理由はいっぱいあって、さっき書いたようにNIIGATA BLUESと共演した縁がこういう形で繋がっていくのが素敵だと思ったし、あと、女優を目指すかほてぃーぬが活躍する場を一樹さんが作ってくれたのが、僕は嬉しかったです。
っていうか、かほてぃーぬとチャラ侍の共演って、僕かなり楽しみにしてたんですよ。
何でかって言うと、一樹さんが結構ガチな感じのドルヲタというか、てぃーぬ推しだなって思ってたからです。
一樹さんと知り合ったばかりの頃、一樹さんがOHANAが好きでめっちゃ行ってるって知った時は、僕は嬉しかったです。
この人はアイドルを愛する喜びをちゃんと分かってる人だ!って。そういう人が演劇仲間にいるのが、単純に嬉しかったです。
そんな一樹さんが、どうしてこんなサイリウムの使い方をしてしまうんだー!って悲しくなりました。
一緒にOHANAで踊った一樹さんなら、ドルヲタの気持ちを分かって欲しかったよーーーー!!って。
そのくらい、僕はショックでした。
僕が一番許せなかったのは、そこです。(そこかよー!)
そんな感じで、期待していた分、僕としては非常に残念な出来の作品でした。
でも、色々好き勝手に書いてきましたが、どうして僕がこれだけ「面白くなかった!」って感想を書くかって言うと、「他人事じゃない」って思うからなんです。
自分の体験を振り返ると、これに似た体験しちゃってるなー、って思っちゃうんです。
っていうのはBLUESなんですけど、すごく人気も集客も伸びてきたタイミングで、明らかに過去作よりもクオリティの低いものを作っちゃって、がっかりさせられてしまうという体験があったんです。
で、あの時の敗因って何だったんだろって考えると、多分「集客」とか「周りからの評判」とかに固執し過ぎたことだったんじゃないかって思います。
集客も評判も確かに大事ですが、そこにばかり目がいくと、一番大切なものを見失うんじゃないかと思います。
JOKERもそうなんじゃないだろうかっていう。完全に僕の推論ですが。
っていうか、こういう問題ってBLUESやJOKERに限らず、色んなところで、例えば新潟の演劇でだけ見ても、本当にたくさん発生している気がしてならないです。
ちなみに、BLUESはいい意味で人気も集客も気にしないで、好き勝手にやるようになってから、格段に面白くなったって思っています。
JOKERも、あの「すげー!バカだー!楽しい!」っていう勢いが再び見られるようになればいいなって、ファンの一人として、勝手に思っています。